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2011年10月の7件の記事

2011年10月28日 (金)

ザ・ロード Walk This Way ★★☆☆☆

The Road / John Hillcoat / 米・2009年 / 111分 / 製作費 $2500万 / 興行収入 $2500万

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彼にとっての善とは息子を守ること。それ以外のすべては二の次で障害になる物はすべて悪。だから彼の目に映るものすべて、息子以外は悪だ。だから善なる者など彼の前には現れるはずは無い。

その砦たる父親から解放された時に息子の前に善なる者は現れた。銃を下ろし、話を聞くという行為は父親の選択肢にはないのだから。世は心を映す鏡。

父と死別するシーンでの息子のクローズアップが不快でしょうがない。そもそも息子に感情を揺さぶられる事はなかった。だから近づくと不快だ。悲しい表情をしている哀れな子羊なんて見たくない。しかも彼はちゃんと立ってこの荒廃した世界を歩いたのだから、別れの場面は相応のショットで答えて欲しかった。

その一方で人食いに捕まりそうになった際、息子に銃を向けるシーンは心を揺さぶられた。彼の痛み、苦しみが、銃を撃つ行為が、心を打つ。

抱きしめられ安心する息子の顔ではなく、抱きしめている父親の、彼の顔を、喜びと先にわたる不安が混ざる顔が心を打つ。

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2011年10月26日 (水)

ぼくのエリ 200歳の少女 100パーセントの俺はひどく腹が減る ★★★☆☆

ぼくのエリ 200歳の少女 / Lat den ratte komma / Let the Right One In / Tomas Alfredson / 瑞・2008年 / 115分 / 製作費 不明 / 興行収入 $1100万

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中年の彼は彼女を見ているが、彼女は彼を見ていない。冒頭からこれだけで中年の彼と彼女の関係、そしてその後に続くショットで彼が父性的に彼女を見ているのか、そうでないのか。さらに彼女は少年の彼を見て登場する。二人の彼の未来がどうなるのか。

それは中年の彼と呼応するように続く少年の彼のショット。そういった物以外にも具体的にナイフを持ち木を相手に仮想している "彼" と、その裏で本当に殺人を犯している "彼 " がどういう意味を持つのか。そしてわざわざ別物であるナイフから手を離し、同じ赤い棒を持つ二人がどうあるか。

ひとつの画面の中に二つの情景、感情を入れる。切望と希望、切実と嘲笑。友達に救出される希望と逃れられないと悟る犯人の絶望。母親の心痛と息子の軽挙。沈められ見れない彼と頭上で行われている希望という殺戮、そしてそれを見る私たち。

ひとつの画面がそうであるように、この白銀のストックホルムという舞台で行われている殺人の意味。その設計。

それは特定の場面でモザイクを入れる意味よりも入れた事に問題がある。なぜ彼ら、この場所で撮影したのか。

画に余計な物を入れた事、それが問題。そのシーンにどんな意味があるか、なんて問題ではない。

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2011年10月25日 (火)

ニューヨークの恋人 お前の元に王子は現れない ★★★☆☆

ニューヨークの恋人 / Kate & Leopld / James Mangold / 米・2001年 / 118分 / 製作費 $4800万 / 興行収入 $7600万

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最初のヒュージャックマンがリーヴシュレイバーを追うシーンは良くない。時計を見る為に振り返るなり、嫌な知り合いに絡まれそれから逃れる為なり、彼の方を向くなんらかの必然的要素、それは度を超した男の不審な挙動ではなく。ここに運命は要らない。

だがその後の姉弟との最初の会食シーンは良い。それだけでは退屈な場面に貴族であるレオポルドの印象付け、起立という礼儀を含めるだけで飽きさせない。そしてこの場面が貴族の "負" であるなら、その後にキチンと "正" の場面を魅せる。

その貴族。ヒュージャックマンを持ってしてもただのコスプレ野郎にしか見えない "負" を作中でそのままコスプレをしてCMに出る、とやったのは良い。どうあがいても逃れら無いのだから逆手に取る。だがそのCM撮影のシーンで彼の魅力をただ単に周りの反応、表情の移り変わりだけで見せようとしたのは芸がない。

タイムスリップの詳しい説明をしないのも良い。裂け目を見つける方法を見つけた。それ以上は必要がないし、ラストのリーヴシュレイバーがメグライアンに、彼女が写真に写っている理由を告げるが、その場面のあの台詞は "何を言っているのか分からない" という事が大事。理解する必要はない。分からない事が分かれば良い。

肝の部分であっても必要がない事は説明しないで良いし、些事であっても工夫は必要だ。

説明とは言い訳である。

馬鹿な奴らはその後ろめたさの為に説明をする。堂々と知らんぷりをする事、そしてそれが出来ない卑屈さ。彼の態度もそうであるように胸を張れば良い。

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2011年10月13日 (木)

キック・アス ★★★☆☆

キック・アス / Kick Ass / Matthew Vaughn / 米・2010年 / 117分 / 製作費 $3000万 / 興行収入 $9600万

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冒頭、馬鹿がビルから飛び降り車に衝突するシーンから始まる。これが現実への扉であり、主人公も阿呆な衣装で出歩き、刺されると同時に車に轢かれる。これから先の現実的な話を車内でガールと話す主人公。

この映画のアクションシーンの問題は、狭い事。

つまり結局は彼の狭い頭の中で紡がれる夢の物語。

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2011年10月 9日 (日)

ナイト&デイ 私の知らない物語 ★★★☆☆

ナイト&デイ / Knight and Day / James Mangold / 米・2010年 / 110分 / 製作費 $1億1700万 / 興行収入 $2億6100万

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冒頭、空港でトムクルーズがキャメロンディアスを見初めるときには当然、キャメロンディアスはトムクルーズを見てはいないし、荷物検査の時キャメロンディアスがトムクルーズを見つけた際には、トムクルーズはキャメロンディアスを見てはいない。見られない。

彼は彼女の視界の外からやってくるし、そうあるべきだ。

彼のやっている事を極力彼女は見てはいけないし、彼女のやる事を彼は見ない。トムクルーズは突然現れては消え、キャメロンディアスは眠りにつく。

これこそが重要で、この映画を保つ。

だからマクガフィンたるゼファーを彼女の "前" で彼が語り始めると崩壊する。大事なのはその理由ではなく、その存在であって、それこそが意味を持つ。

機内で夢を語る二人。夢を語る彼女を見ている彼を見る。

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2011年10月 5日 (水)

プライベートライアン ★★★★★

Saving Private Ryan / Steaven Allan Spielberg / 米・1998年 / 170分 / 製作費 $7000万 / 興行収入 $4億8100万

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当然カメラは上陸する兵士達に寄り添う。カメラは揺らすのではなく、揺れるからこそ意味がある。さらに戦況が好転するまではドイツ兵の顔は見えない。

そして上陸。

酔い、いや恐怖からくる嘔吐。無情に撃ち殺される兵士達。上陸艇から必死でもがき飛び出し海へ落ちるが、撃たれまたは装備の重みにより溺れ死ぬ者。千切れた腕を探す兵士。必死で処置した兵士の命が新たな弾丸で簡単に消え去るシーン。引きずり連れて行った部下が振り返ると次の瞬間には下半身が吹き飛んでいる場面。二回カメラを振った後の通信兵の死亡、カットそのままで打ち抜かれている通信機。一度目はヘルメットへの幸運、二度目はそれを脱いだ不運のショット。ガムと銃剣を使った即席の道具。ユダヤを殺したナイフで殺されるユダヤ。

そもそもの始まりと終わりがそうであるように古典的な繰り返しと古き良き演出で保つ20分。

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2011年10月 3日 (月)

私の優しくない先輩 私に優しすぎる世界★★★☆☆

私の優しくない先輩 / 山本寛 / 日・2010年 / 102分 / 製作費 不明 / 興行収入 不明

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滴る雨に、暗闇の火。彼女の感情を表す情景が虚しく映る。

土の匂い、風の音、太陽の光。彼女のチープな世界を、彩る自然が輝かない。決してそのままの画面から感じるのではない。汗の匂いが香るのは、言葉では無く、「臭い」という声でもなく、清潔なシーツに水で流れてゆく汗、カラッとした太陽、こういった臭くはなく "匂い" はしない場所との対比で感じる。

美しくあるのは、整った顔ではなく、殴打をされ、タオルで頭を叩かれ、乱れた中盤のシーンこそもっとも彼女が美しくある。だが振り回されて前転をした後に、笑顔でこちらを振り返る彼女の髪は、整ってしまっている。

とても不細工だ。

置き去りにされた彼女と両親、友達との関係性が、エンディングの結束したシーンを前にいっそうと虚しく映る。

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