「俺、次のクラシコに勝ったら優勝するんだ」
勝ったら決まり。冬で決まり。
引き分けだと駄目。敗戦なんてもってのほか。
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タイトル通りな試合。序盤ジエゴが張り付きそれを引っ剥がす為に前、横、後ろと奔走するアロンソ。だが一人少なくなった時点で解放される。するとアロンソが生きる、生きる。
彼の凄さは主に二点。サイドへと綺麗に飛ばせる事と楔の巧さ。どちらも素晴らしいが特に後者。この試合でも彼が前を向き、ある程度フリーになると綺麗に相手DFを抜く楔のパス。サイドを向き外に叩くと見せて中、中に入れると見せて外。さらには大外にも持っていける。これが他の選手には出来ない。つまり引き金。彼が死ぬか生きるかでレアルの攻撃は決まる。
これからも他チームは彼を殺しに来る。そこでシャヒンを入れてラモス、ペペ、アロンソ、シャヒンあたりで相手を引きはがす事が出来るか否か。
常に遠くを見て、軸足から少し遠くにボールを置いているので、たまにDFに絡まれ危うい場面があるのはご愛嬌。
あとマルセロの怠慢。失点シーンの前にも同じ形でマークを捨てている。というか常に、いつも。例えばアルベロアもよく外を捨てるが、彼は中に絞ってそこで叩こうとする。だから同じように抜かれる事はあるが、マルセロは中途半端なポジションを取る。
彼の頭にあるのは「このぐらいで」「まあいいか」
そこが致命的。
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スタートレック / Star Trek / J.J.Abrams/ 米・2009年 / 126分 / 製作費 $1億5000万 / 興行収入 $3億8500万

冒頭の感動的なシーン、それが過ぎる。カメラは父親に寄るべきなのに母と子のショットを挟んでしまう。彼の不安は自身が死ぬ事ではなく、それを継ぐ者までもが死ぬ事であって、妻子が無事脱出、それも異常な状態での出産を含めての状況が分からない、知れない事。
その事実は父親と同時に私達も知らなくて良い。そしてその答えは父親が聞く何よりも嬉しい産声それが聞こえるだけ、その声が、叫びが死に往く彼を救う。
後に続く糞のような会話劇は全く持って不必要であり興が醒める。
それに高さを魅せるシーンにてそれを撮れない。速すぎるメロドラマ。スポックはその不完全さが母親に由来する事を責められないように、誰よりも感情を制御しようとしている彼が、その為にカークの挑発により激昂する場面は、エレベーター内でのウフーラとの邂逅のシーンによって弱くなってしまい、母親に対する前半の固いが確かな愛を示す無骨な告白が台無しになってしまっている。
そして後半の失速。カークは無鉄砲だがアプローチの仕方が独特で常に諦めないという人物と描かれているので、その主人公が敵艦に突撃するというこれは当然の結論であってなんら意外性もない。
Aという選択肢がなかったBがCと出会いAを選択する、またはAという選択肢しか持ち得ないBがDと出会いA以外の道を選択する、などの変化が伴ってはいない。この映画では互いに共振する二人の主役が、カークはその受ける影響が弱く、スポックはその活躍の場が弱い。だから盛り上がらない。
とはいえ、音のコントラスト、それにギャグを織り交ぜて奔る前半など面白い。
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Enemey at the Gates/ Jean Jacques Annaud / 米・独・英・愛・2001年 / 131分 / 製作費 $6800万 / 興行収入 $9600万

冒頭の彼女を見るザイツェフ。にもかかわらずカメラは彼に構わず外へ出る。さらに無粋なナレーションが入り、続いて戦場ではあちこちに点在するカメラ。つまりそれは散漫な映像。
映画では距離と時間を0にする事が容易に可能。だがそれは、ほんの1m前に進むだけでも命が散る熾烈な戦場を、殺す。
そんな稚拙さから始まるが、ダニロフが死体の山に隠れるシーン、そこからはキチッとカメラは "彼ら" に寄り添う。そして誰もがお前が撃てよと言いたくなる状況で代わる射手。つまり今まではすべてが前座。主役の登場。
だがそれも、冷静に砲撃の音に合わせ音を消し、かつ互いをカバーしていない敵兵の死角、死角を狙い、最後はすかさず膝を立て颯爽と仕留めるザイツェフの全てを殺すような音楽。ヒットする瞬間に阿呆のように鳴る音、音、音。
さらに強敵を倒すその瞬間も、今までのエドハリスの鋭い眼光を立ち振る舞いを消すような迂闊に近寄る間抜けなショット。さらにチームプレーである狙撃要素の薄さなどは残念。
とはいえ、光の反射、飛び越える瞬間の狙撃、睡魔、艶かしい情事の様などや、ケーニッヒを討ち取った後でダニロフの傍らに佇むザイツェフの顔への光、ラストでの再会を照明とその瞬間の一歩手前で終え、幕を引いた事などは素晴らしい。
多々難あれど面白い。
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Thirteen Assassins / 三池崇史 / 日・2010年 / 141分 / 製作費 不明 / 興行収入 ¥30億

とても狭い。誰かが何かを言う、何かをするとジリジリと顔に寄るカメラ。前半のそれは良い、だが狼煙が上がった後でさえ200を超える数と言うそれを映せない事。残りが100となったそれを映せない事。
死ぬ往く覚悟を侮蔑するかのように追いすがる台詞、ショット。それは覚悟を決めたはずの彼ら13人でさえ間抜けな阿呆である事。しかしその武士道に対するシニカルさ、そのテーマの退屈さは、単調なアクションと合わさり加速する。
戦を知らぬが戦でしか生きる術がない人間にその存在意義を与える為のバカ殿は、それを受けてさらに生を知る事を知る。つまりそれは民や正義ではない、自らの為に戦う。
っていう事が退屈であり、四肢を捥がれた女を見た役所の武者震い、それだけで終わるべきで直後の台詞、いやそれ以後は全て蛇足。
その戦いも侍であって武士でない者の戦いならば石や泥、崩れた建物の破片、すべてを投げて無様に戦うべき。一部の武士だけが刀を、形骸化されたその象徴を掲げて戦うその無情さがコントラストになり栄える。
結局の所これは無様な死闘ではなく子供のケンカ、それをどう採るか。最後に執着するのは生か死か。もしその "武士道の欺瞞 "を貫くなら、逃げるべき。
あ、伊原剛志の無限流はテンションが上がる。もっとも "そう" である人間が次々と捨て戦うそれは心躍る。
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トレーニング・デイ / Training Day / Antoine Fuqua / 米・2001年 / 120分 / 製作費 $4500万 / 興行収入 $1億

お決まりのように厳ついチェーンにドレーの音楽そして車。それらを纏ってやってくるデンゼルワシントン。この風貌によって付きまとう違和感。彼が言う「狼になるか、羊であるか」はある決定的なシーンまでは、確かに一理ある……いや、ねぇわ、でもそうかもしれない感。
この劇は訓練と見せかけて罠に嵌めるという筋になっているが結局のところはキチンとそれも凄まじい新人ジェイクにとってのトレーニングになっている。だからカメラは彼に寄り添い、この事件の顛末それに原因となったロシア人との諍いなどは詳しく知る必要がないし、それで良い。
道中の女子高生を助けた事で助かったジェイク。それとその後にアロンゾが言った「悪党に悪人を始末させる」を実行し帰路に着くイーサンホーク。
今までの彼とトレーニングを経た彼。それによって採った行動。だから冒頭、朝日が昇る所から始まり家に帰ると終わる。その一日をその名の通りに描くトレーニング・デイ。
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30 Days of Night / David Slade / 米・2007年 / 113分 / 製作費 $3000万 / 興行収入 $7500万
人間関係、建物の配置、雪国である利点、工夫、作用などの様々な状況、そういった要素のフリが薄い。さらには急襲後、30日という長期に渡る潜伏その時間がほとんど感じられない事の希薄さ。
そしてラストは今までの窮屈な空間から解放され、反撃の狼煙を挙げた事のへの快感、そういったカタルシスを得るにはほど遠いバトル。この場面は侵された血を注射した後、一気にカットを割り飛ばし、さらに音楽にも合わせて今までの鬱憤を晴らすかのように躍動して欲しかった。なればラストの景色もまたそのコントラストを際立たせただろう。
だがすべてはこの "かくれんぼ" というシチュエーションの勝利。
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ゲッタウェイ / The Getaway / Sam Peckinpah / 米・1972年 / 122分 / 製作費 $330万 / 興行収入 $2600万
繰り返される機械音。強制された行動。鉄格子の圧迫。それらから解放されて見る景色の雄大さと人々の開放的な振る舞い、衝動に駆られ湖に飛ぶ込む情景が先走る。
大金を手にしているにも拘らずドライブスルーでの食事に、果てはゴミ溜めに放り出される無情さと、老女や老父に対する態度、隙のないマックイーン。
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ラスト・ターゲット / The American / Anton Corbijn / 米・2010年 / 105分 / 製作費 $2000万 / 興行収入 $6700万

冒頭での暖色で親密な部屋、そこから一転して白銀の世界、裸体から厚着、さらに淡白な殺し。それを引き立てるショット。その恬淡さが次の彼女へのフリとなる。こういった変化が感覚と感情を刺激する。
銃声だけが響く無音の世界。列車から降り、店内で待ち合わせているクルーニーを室外から、そして室内へとカメラが入ると雑音が消え静寂へ。こういった音がしない事が次の音をより意識させ緊迫感を持続させる。
背後から来るバイク。川に投げられた薬莢。狙撃者からの主観ショット。依頼品に細工を仕込む事を示唆するショット。繰り返されるルーチンワークに銃の製造、そして試射。そこで行われる偽装。やや丁寧すぎるがこういった細部とロケーションの美しさ。
ただラストがあまりに直接的過ぎるのが残念。
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